魅惑のロシアレンズ Industar 26M 52mm F2.8(1)

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いきなりですが前置き

『チャイルド44』というソビエトを舞台にしたミステリーをご存知でしょうか。2009年度「このミステリーがすごい!」海外編で1位を獲得し、映画化もされた、トム・ロブ・スミスのデビュー作です。

舞台は1950年台のソ連。犯罪の存在を認めないスターリン政権のもと、国家保安省の捜査官、レオが、こどもたちを狙う残酷な連続殺人鬼を追う、というストーリーです。

スターリン政権は司法、立法、行政の三権分立をソ連共産党に集中させた一党独裁政権。国民の自由は「社会主義体制を強化するため」にのみ与えられ、国家の秩序を乱すものとされれば有無をいわさず処刑される、恐怖政治です。保身のための密告が横行し、誰を信じて良いかわからない、重く暗い時代を背景としています。

国家のため、家族のために尽くしてきたレオが、殺人鬼を追う過程で自身の過去、愛、正義に向き合っていく。ソビエトの歴史に関心がなかった人でも、読めば当時の人々の苦しい生活に涙を誘われ、またレオの変化に心を揺さぶられる大傑作です。

ちなみに、この連続殺人鬼には実在のモデルがいます。
ロストフの殺し屋、赤い切り裂き魔とも呼ばれるアンドレイ・チカチーロです。実際の事件は1978年から1990年にかけて起きたもので、8年間に50人以上を殺害するという凶悪事件ですが、わりと最近のこの時代でも、ソビエトでは「連続殺人は資本主義の弊害によるものであり、この種の犯罪は存在しない」というのが公式の見解となっていました。
これに対しコツコツと操作したブラコフ中佐がレオの役どころです。『子供たちは森に消えた』は、チカチーロ事件のドキュメンタリーです。

Industarの歴史背景

さて、レンズの話です。

なぜこんなに本のお話をしたかというと、今回ご紹介するレンズが(はっきりはしないのですが)1950年代に製造されたものだからです。その名も、Industar(インダスター)-26M 52mm F2.8。ソビエトのFED製です。

ちょうど、『チャイルド44』の時代。小説の冒頭に、大飢饉が訪れたソビエトで、飢餓に耐えかねて雪の中を彷徨する兄弟の姿が描かれるのですが、本当に当時のソビエトはロシア革命以降の共産主義体制で国際的にも孤立、孤児があふれていました。

そんなこどもたちを救うために、秘密警察を立ち上げ、容赦ない弾圧で国民から恐れられていたフェリックス・エドムンドヴィチ・ジェルジンスキー(Феликс Эдмундович Дзержинский)が設立したのがFEDのカメラ工場だったのです。孤児が増えた背景には、多数の親たちが粛清によって命を落としたからだともいわれていますので、なんともやりきれないものがあります。

FEDはジェルジンスキーの頭文字をとってつけられました。ロシア語ではФЭДと書きます。

ジェルジンスキーはもともとポーランドの貴族出身で、革命のためなら手を汚すこともいとわなかった半面、孤児のためにコミューンを設立し、生涯教育事業に携わる夢を抱いていた、と言われています。清廉潔白な人柄で汚職とは無縁、粛清のために処刑をするときは、苦しんでいたとも伝わっています。しかし、ポル・ポトも清廉潔白な理想家だったと言われますし、思想のために殉ずる気質が大きな悲劇と混乱を生むものでもあります。歴史は繰り返し証明していますね。

こんな時代背景を持つFEDのレンズ、心惹かれないわけがありません。平和な日本で楽しめることに感謝しつつ購入。ヤフオクで5,000円くらいだったかな?

Eマウントへの装着※注意点あり

Industar 26M 52mm F2.8
Sony α7に装着したところ。固定鏡胴レンズ、テッサータイプ(カールツァイスが開発した、3群4枚、後群2枚張り合わせのレンズ。もちろんFEDはまねっこ品です)

Industar 26M 52mm F2.8
このレンズはバルナックライカと互換性のあるLマウント。ライカL39マウントとも呼ばれます。ソニーとのアダプターはこちら。

このマウントアダプターを付けた状態で、最短撮影距離1m。室内で物を撮ることが多い私には、ちょっと使いにくい距離でした。

そこで、L→E変換アダプターを外し、レンズにLマウントをM42マウントに変換するスクリュー(ねじの径を変えるため)を装着します。Lマウント→Eマウントを直接接続できるヘリコイド付きのマウントアダプターは(現時点では)見つかりません。

これを付けた状態で、ヘリコイド付きM42マウントアダプターを介してSony α7に装着。
※注意:Amazonのレビューにある通り、このスクリューをはめると、とれなくなります。モンキーレンチとか出してきてなんとか外そうとしたけれど、がっちりはまり込んでしまって二度と取れません。なので、下のようなM42マウントアダプターをすでに持っていて、それを使いたい場合はいいのですが、迷っている場合はよく考えて。どのマウントアダプターをメインにするか決めてから購入しましょう!!

ヘリコイド付きのマウントアダプターを使うと、かなり寄って撮影できるので、格段に使いやすくなります。エクステンションチューブをつけるより、様々な状況に対応できるので、ヘリコイド付きのアダプターがおすすめです。

ふつうにEマウントに装着するなら、LEICA ライカ L39 レンズ → ソニー NEX E マウント アダプター

ヘリコイドを使いたいならライカ L マウント L39 M39 → M42 スクリュー 変換 ステップ リング ボディ アダプターをかませて【日本国内正規品】KIPON ソニーNEX/α.Eマウントアダプター マクロ/ヘリコイド付きを装着

撮影実例は次回。