6月の花と言えばアジサイ。色とりどりに咲くアジサイを、印象的に撮るポイントをお伝えします。今回のキーワードは「アンダー」と「クロスプロセス」です!
◇◇花写真のコツシリーズ◇◇
アジサイは曇りや雨あがりにアンダーで撮れ!
お花は明るくフワフワに撮っていることが多いかもしれませんが、梅雨時のアジサイの写真を明るくフワフワエアリーにしてしまうと、しっとりした魅力が薄れてしまいます。せっかく梅雨という四季があるのですから、その風情を写し撮りましょう。
露出補正はアンダー/ローキー/マイナスに!
アンダー/ローキー/マイナス、この3つの言葉の意味はすべて同じで、「写真の明るさを暗めにしましょう」という意味です。カメラの+/-表示をマイナス側に設定して、暗くするということです。
露出補正については、こちらの記事を参考にしてください。
例えばこの2枚、どちらが梅雨らしい、しっとりした感じがするでしょうか。
A:暗め(アンダー/ローキー/マイナス)露出補正±0
B:明るめ(オーバー/ハイキー/プラス)露出補正±2.3
Aのほうが、梅雨らしさ、アジサイらしさがありますよね。Bの写真も可愛いですが、アジサイの個性がなくなってしまったような気がします。明るく撮りたいのであれば、ソフトフォーカスでコントラストを低めにし、幻想的な雰囲気にしてみましょう。霧雨が煙っているような印象になりますよね。
クロスプロセスを使って、アジサイの色変わりを楽しもう
クロスプロセスというのは、フィルムカメラ時代に行われた現像の技です。フィルムには、ネガフィルム(=現像されたフィルムが、明暗が反転した陰画になっている)ものとポジフィルム(=現像されたフィルムが、そのまま見ることができる陽画になっている)の2種類があり、それぞれ専用の現像液が使われます。クロスプロセスは、ポジフィルム用の現像液でネガフィルムを現像したり、ネガフィルム用の現像液でポジフィルムを現像することです。フィルムの現像は、フィルムに含まれる成分と現像液に含まれる成分が結合して色を出すようになっているので、正しくない現像液で現像すると、正しくない色味が出てきます。これが面白いということで、わざわざ逆の液を使って現像しているのがクロスプロセスです。
デジタルカメラでも、このクロスプロセスの色味を再現するエフェクト(効果)をかけられる機種が多くあります。一眼レフでもコンデジでも、「シーン」や「エフェクト」「クリエイティブモード」などの設定の中に、「クロスプロセス」というモードがあれば、ぜひアジサイで使ってみてください。たくさんアジサイが咲いている名所に行かなくても、色とりどりの作品ができますよ♪
PhotoshopやLightroomでも簡単にクロスプロセスの発色を出すことができます。これはLightroomに最初から入っているカラープリセットの「クロスプロセス」を使って仕上げました。
A:本来の色
B:クロスプロセス1(明暗色色補正がハイライト:緑、シャドウ:茶色に)
C:クロスプロセス3(トーンカーブ、明瞭度、彩度が変更)
背景に気をつけよう
せっかくアンダーにして、背景を暗く落とし込んで、アジサイを際立たせて撮ったのに、一気に台無しになってしまうことがあります。
それは、意図しない鮮やかな色のものが入り込んでいるときです。この写真の場合は、奥に小さな赤い花が咲いていました。
これ、レッスンでも生徒さまによく注意することなのですが、メインの被写体に夢中になるあまり、ちょっと余計なものが入り込んで台無しになっている写真が多いんです!
少し角度を変えれば見えなくなるのですから、背景の隅々まで目を配りましょう。
まだしばらく続く梅雨の季節、アジサイ写真で楽しみましょうね!
◇◇花写真のコツシリーズ◇◇